
帰化申請とは
帰化とは、日本国籍を取得することで、帰化申請とは外国人が日本人になる申請手続きのことです。日本国籍を付与されたら参政権や国内居住権など、日本国憲法にある様々な権利義務が生じます。
帰化申請の申請先は「法務局」です。「法務大臣」が許可・不許可を最終的に決定しますが、「法務大臣」には広い裁量権が認められており、帰化条件を満たしていたとしても必ず許可になるというものではありません。
申請者数 | 許可者数 | 不許可者数 | 許可率 | |
令和元年 | 10,457 | 8,453 | 596 | 80.84 |
令和2年 | 8,673 | 9,079 | 900 | 104.68 |
令和3年 | 9,562 | 8,167 | 863 | 85.41 |
令和4年 | 9,023 | 7,059 | 686 | 78.23 |
令和5年 | 9,836 | 8,800 | 813 | 89.47 |
帰化と永住者の違い
「帰化」とは、外国人が日本国籍を取得し日本人になることです。さらには母国の国籍を喪失することです。
一方、「永住者」とは、外国人が外国籍のまま日本に継続して住めるという「在留資格」の一つです。在留活動の内容、在留期間のいずれも制限を受けずに日本に在留することができます。日本は二重国籍は認められませんので、たびたび帰省のため帰国するような場合は「帰化」ではなく「永住者」という在留資格にしておいたほうが良いかもしれません。
帰化の要件
「国籍法」4条には、日本国民でない者(外国人)は帰化によって日本の国籍を取得することができる旨が定められ、5条1項1号から6号において要件が定められています。さらに条文にはありませんが、日本語能力についても対応が必要とされています。
①住所要件
「住所条件」とは、「引き続き5年以上日本に住所を有すること」です。目安として、過去5年間のうち、日本を出国していた期間が連続して3か月以上なく、かつ、年間で合計100日以上日本を離れることなく住み続けていれば要件を満たすようです。(公表されているわけではありません)
また、日本に居住していた5年間のうち、技術・人文知識・国際業務、高度専門職などの就労系の在留資格で3年以上就労している必要があります。正社員、契約社員、派遣社員等の身分であれば大丈夫ですが、パート、アルバイト等であれば難しいといえます。
②能力要件
「18歳以上で本国法によって行為能力を有すること」と定められています。
日本では、成人年齢は18歳ですが、18歳未満でも、親と同時申請する場合など、例外的に申請可能な場合があります。
また、国によって成人年齢は異なりますが、本国法でも成人していることが必要です。申請者の国での成人年齢を確認する必要があります。
③素行要件
「素行が善良であること」と定められています。
客観的に判断するのが難しい規定ですが、一般的には、年金保険料、税金などをちゃんと納税していることと、交通違反(駐車違反、スピード違反を含む)、犯罪歴がないこととされているようです。
④生計要件
「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」と定められています。
自分や家族・親族の収入や資産によって、生計が成り立っていることが必要になります。
具体的にどのくらいの年収があればよいのかというと、目安として一家で300万円以上とされているようです。さらに、同居家族が多くなればこの年収基準は高くなります。
このように生計の安定性がないと不許可の可能性があります。
⑤重国籍防止要件
「国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと」と定められています。
日本は二重国籍を認めていませんので、日本国籍を取得するにあたって、元の国籍を喪失する、またはすでに喪失していることが求められます。「国籍喪失要件」とも言われています。
⑥思想(憲法遵守)要件
「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと」と定められています。
日本の政府を暴力で破壊することを企てたりするような者、あるいはそのような団体に加入しているような人は帰化できないということです。具体的には、テロリストや暴力団などがあります。
⑦日本語能力要件
国籍法に定められてはいませんが、日本語の能力が求められます。
申請後、審査官との面談がありますが、日本語のテストが実施される場合があります。日本語の日常的な読み書きができるレベル(小学校3~4年生程度の能力)が求められています。
申請必要書類
- 帰化許可申請書(要写真)
- 親族の概要を記載した書面
- 履歴書
- 帰化の動機書
- 宣誓書
- 国籍・身分関係を証する書面
- 国籍喪失等の証明書(法務局の指示があった場合)
- 住民票の写し等(申請者、同居者、配偶者(元配偶者含む))
- 生計の概要を記載した書面
- 事業の概要を記載した書面(※会社員は不要、個人事業主・経営者は必要)
- 納税証明書等
- 社会保険料の納付証明書(直近1年分)
- 運転記録証明書(過去5年間)
- 運転免許経歴証明書(失効した人、取り消された人)
- 自宅、勤務先、事業所付近の略図
- その他