農地転用申請

 農地を転用する場合は、都道府県知事等の許可を受けなければならないことになっています。無断で転用すると、農地法違反となり原状回復等の命令がなされる場合があり、罰金等の罰則があります。

「農地」とは、田や畑のことで、穀物や野菜を作っている土地のことです。ただ実際耕作されていなくても登記上で農地なら転用許可が必要になります。また、登記上は宅地でも課税上農地であれば転用には許可が必要です。

 「転用」というのは、耕作以外の目的に使うことです。例えば、宅地や駐車場、資材置場や道路などが典型的な例です。また個人で関わることはなかなかないと思われますが、公園や運動場、学校用地や鉄道用地、境内地や墓地なども転用の例です。
 逆に転用とならないケースとしては、田を畑にする場合、畑に果樹を植える場合などです。

  許可を要しない場合がありますが、その主な例です。

  1.  市街化区域内の農地についてあらかじめ農業委員会に届け出て転用する場合
    市街化区域は、おおむね10年以内に市街化を優先的に、そして計画的に進める地域のことをいいます。この地域では、農地を宅地などに変えることが推奨されるため、許可がいらず「届出」のみでよいとされています。土地が市街化区域内であるかの確認は、役所でできます。

  2.  国、都道府県等が転用する場合(学校、社会福祉施設、病院、庁舎又は宿舎のため転用する場合をを除く)

  3.  市町村が土地収用対策事業の用に供するため転用する場合(学校、社会福祉施設、病院又は市役所、特別区の区役所若しくは町村役場のため転用する場合を除く)

    なお、底面の全部がコンクリート等で覆われた農業用施設については、平成30年の農地法改正により、一定の基準を満たす「農作物栽培高度化施設」で農業委員会に届け出し、受理された場合は農地転用にがいとうしないものとされました。

 農地転用の許可申請をする際には、現在その農地が自分のものなのか、(親族も含めた)他人のものなのかによって、農地法の条文が変わります。

農地法 許可が必要な場合    許可申請者  許可権者      
第4条自分の農地を転用する場合転用を行う者(農地所有者等)・都道府県知事
・指定市町村長
第5条事業者等が農地を買って(又は借りて)転用する場合売主(貸主)と買主(借主)・都道府県知事
・指定市町村長
(注1)4haを超える農地について都道府県知事等が許可しようとする場合には、あらかじめ農林水産大臣に協議することとされています。
(注2)指定市町村とは、農地転用許可制度を適正に運用し、優良農地を確保する目標を立てるなどの要件を満たしてるものとして、農林水産大臣が指定する市町村のことをいいます。この場合、指定市町村は、都道府県と同様の権限を有することになります。

立地基準
 これは、転用の対象となる農地がどのような営農条件にあるのか、また、当該農地の周辺の土地の市街地の状況などに応じて審査を行うものです。

農地区分営農条件等許可方針
農用地区域内の農地 市町村が定める農業振興整備計画において農用地区域とされた区域内の農地原則:不許可
例外:農業用施設地に指定された土地に農業用施設を建設する場合など
甲種農地市街化調整区域内の土地改良事業の対象となった農地等(8年以内)特に良好な営農条件を備えている農地 原則:不許可
例外:公益性の高い事業に供する場合など
第1種農地10ha上の規模の一段の農地、土地改良事業当の対象となった農地等良好な営農条件を備えている農地原則:不許可
例外:土地収用法対象事業等公益性の高い事業に供する場合など
第2種農地鉄道の駅から500m以内にある等市街地化が見込まれる区域内にある農地又は生産性の低い小集団の農地周辺の他の土地では事業の目的が達成できないなどの場合許可
第3種農地鉄道の駅が300m以内になる等の市街地の区域内又は市街化の傾向が著しい区域内にある農地原則:許可

一般基準

 これは、転用事業の確実性および周辺のうちに対する影響を考慮して、許可の判断をするものです。

  1. 転用目的実現の確実性
    転用の確実性をほかの法令の許認可等の見込み、資金計画の妥当性等により審査します。

  2. 被害防除
    周辺農地への被害防除措置の妥当性と、土砂の流出等のおそれ、農業用排水の機能支障等のおそれにより審査します。

  3. 周辺農業の効率的・総合的な利用の確保
    農地の利用の集積に支障を及ぼす場合、また、農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずる場合を審査します。

  4. 一時転用後の農地への復元の確実性
    仮設工作物の設置その他の一時的な利用については、農地への原状回復が認められるか等を審査します。

 許可申請の審査事務は次のように行われます。

 許可申請には次の添付書類が必要です。

  1. 法人にあっては、定款または寄付行為の写し及び登記事項証明書
  2. 土地の登記事項証明書及び地番を示す図面
  3. 位置図(縮尺は1/10,000ないし1/50,000程度)
  4. 建物・施設の面積、位置を表示する図面(縮尺は1/500ないし1/2,000程度)
  5. 転用の目的に係る事業の資金計画に基づいて事業を実施するために必要な資力及び信用があることを証する書面(預貯金残高証明書・融資証明書等)
  6. 所有権以外の権利に基づく申請の場合は所有者の同意書
  7. 地上権、賃借権などに基づく耕作者がいる場合にはその者の同意書
  8. 転用に伴い他法令の許認可を修了している場合は、その旨を証する書面
  9. 転用地が土地改良区内にある場合は、当該土地改良区の意見書
  10. 転用に関する取水・排水について権利関係者の同意を得ている場合は、その旨を証する書面
  11. その他参考となるべき書類