相続

一般に、被相続人の財産を相続人が相続によって承継する方法には2つあります。

遺言相続・・・被相続人が遺言という形で意思を表示している場合には、原則として遺言に従って処理される。
 
法定相続・・・遺言がない場合は、法律があらかじめ定めた相続人に権利義務を承継させる。

 相続は人の死亡によって開始します。また、失踪宣告や水難・火災その他の事変によって死亡した場合も認定死亡として、同じく死亡として扱われます。


 相続人には、配偶者相続人と血族相続人があり、配偶者は常に相続人となりますが、血族には順位があります。

 配偶者・・・常に相続権がある。
 第1順位・・被相続人の子またはその代襲者で非嫡出子でもよい。
 第2順位・・被相続人の直系尊属
 第3順位・・被相続人の兄弟姉妹またはその代襲者 

配偶者と血族の相続分は以下のとおりとなります。
  第1順位 ⇒ 配偶者 1/2  子    1/2
  第2順位 ⇒ 配偶者 2/3  直系尊属 1/3
  第3順位 ⇒ 配偶者 3/4  兄弟姉妹 1/4

 代襲相続人
 
 代襲相続とは、相続人となるべき子や兄弟姉妹が、相続を開始する以前に死亡したり、相続欠陥や相続排除により相続権を失ったときに、その子が代わって相続するという制度です。代襲相続人となるのは、子の子(孫)と兄弟姉妹の子(おい、めい)です。
 子(孫)の場合は、孫の子、つまりひ孫が代襲相続人になり得ます。これを再代襲相続といいます。 

 胎児の扱い

 胎児は、すでに生まれたものとみなして、相続権が保障されます。例えば、父の死亡時に胎児であった者が、のちに出生すれば相続人となる、ということです。ただし、死産の場合には、適用されません。
  

 相続人が相続人としての資格を喪失する場合が2つある。第1に、相続開始前に、その意思に反して資格を奪われる場合、第2に、相続開始後に、自らの意思で資格を放棄する場合、である。

(1) 相続開始前のはく奪

 「相続欠格」
 相続人が、相続をするのに正義に反するような行為を行った場合、当然に相続資格を失う。
①故意に被相続人を股は相続について先順位もしくは同順位にあるものを殺害し、または殺害しようとしたために、刑に処せられた者
②被相続人が殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者
③詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、または変更をすることを妨げた者
④詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた者
⑤相続に関する被相続人の遺言を偽造・変造・破棄・隠匿した者

 「相続廃除」
 相続欠格のように当然に資格を失うほどではないが、相続させたくないような非行があった場合に、家庭裁判所の審判または調停によって相続権を奪うものである。
 廃除は遺言によってもすることができます。また、被相続人からいつでもその取消しを家庭裁判所に請求できます。遺言によっても取り消すことができます。

(2) 相続開始後の資格の放棄

 「単純承認」
 相続の原則的な形態です。相続人が被相続人の一切の権利義務を承継することです。借金が相続財産を超える場合は、相続人が自分の財産で返済しなければなりません。
  
 「限定承認」
 借金が多くて相続財産がマイナスになるおそれがある場合には、とりあえず相続財産の範囲で清算し、なおプラスがあれば引継ぐという選択をすることができる。

 「相続放棄」
 自らの意思で相続そのものを拒否することです。
 相続する財産が借金が多い場合などに用いられる。
 放棄する相続人は、自分のために相続が開始したことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出しなければなりません。
 相続の放棄をしたらその相続に関しては、初めから相続人にならなかったものとして扱われます。その結果、放棄したものを除く他の共同相続人が相続することになって、代襲相続の問題とはなりません。また、相続放棄は撤回することはできません。